2021年陸上日本選手権で見事なレースが行われた3000m障害。
上位3名全員ががオリンピック標準記録を突破し大きな盛り上がりを見せました。
でも、「3000mscってどんな競技なの?」「危険なんじゃない?」と思っている人も多いと思います。
そこで、高校新人大会で3000mscで県内3位になった経験のある私が紹介していきます。
〈3000mscの普段の練習法についてはこちらの記事で紹介しています〉
〈3000mscに出場するならやっておきたい筋トレについてはこちらの記事で紹介しています〉
3000mSCとは?
まず、3000mscとはどんな競技なのか簡単に確認しておきましょう。
3000mscは3000mを走るうちに障害物を28回、水濠を7回飛び越えます。
水濠の関係で7周半走ることになり、1周のうちに5つの障害があります。
そのうちの4番目が水濠です。
障害物の高さは男子が91.4cm、女子が76.2cmです。
障害を飛び越えるときに足を障害の上に置いたり、障害を使ったりしてもかまいません。
しかし、障害の外側を回ったり、下をくぐったりするのはルール違反です。
スタート位置は日本の場合、ホームストレートの中央付近になることが多いです。
障害物の練習法
3000mscに出場しようと考えている人は「とりあえず出てみようかなぁ。」という感覚は捨てて、しっかり練習してください。
1500mや5000mなどの特殊な練習をしなくても出られるような簡単な種目ではありません。
真面目に練習していないと怪我をします。
県内の記録会でほどんど練習していないと思われる人を幾人か見てきましたがひどいものでした。
後半になってくるにつれ足が疲れ、障害を飛び越えられなくなり、手を使う人もかなりいました。
それでもゴールできたらいいのですが水濠や障害で足を引っかけてしまい怪我で棄権ということも十分にありえます。
しっかりと対策していきましょう。
人生初の障害は飛び方すら分からなかった#水濠 pic.twitter.com/OH9yUlE9z9
— yuya@水戸・岡山・黒部サブ3への挑戦 (@yuya91225912) June 5, 2021
跳び方を知ってるのと実際に飛べるのは別だからね。
本当にこういうのがあるから気を付けてね。
障害の越え方
まずは、普通の障害の越え方の紹介です。
初心者の方は普通のハードルのように飛び越えるのではなく、一度障害の上に足を置いて越えるようにしましょう。
実際には「足を置く」ではなく、「障害を軽くつま先で触れる」イメージで行うとうまくいきやすいです。
スパイクのピンがあるつま先を触れるようにしてください。
ピンがないところで上に乗ると、滑って危険です。
また、経験が浅い人ほど障害を怖がって飛ぶ前にスピードを落としてしまう傾向があります。
そうなってしまうと飛び越えるためにジャンプする距離が障害と近くなってしまい、上に飛ぶことになってしまいます。
上に飛んでしまうと無駄な筋力を使ううえに減速してしまっているので着地後に再びスピードを上げることになり、スピードのアップダウンが激しく疲労がたまりやすくなってしまいます。
怖いという気持ちはあるかもしれませんが逆に障害前で少しスピードを上げるイメージで行いましょう。
障害を飛ぶ時の足あわせは踏み切る4歩前ほど前から歩幅を少しずつ大きくしていくイメージです。
※全国で上位を狙わない限りハードルのように飛びこる必要はないと思います。実際、日本のプロの方でも障害の上に足を置く人もかなりいます。
水濠の越え方
次に多くの観客を魅了し注目を集める水濠の飛び方について説明します。
水濠を越えるときは必ずハードルの上に足をかけて飛んでください。
水濠は名前の通りハードルを越えた後に水があります。
障害でしっかりと飛んで水をある程度まで越えないと水に浸かってしまい体力を消費してしまいます。
目安は着地の一歩目はくるぶしくらいまで水に浸かり、二歩目で完全に水から上がることです。
逆に飛びすぎて水のないところで着地してしまうと足首や膝に大きなダメージがかかってしまうので飛びすぎも避けた方がいいと思います。
水濠でのジャンプを失敗してしまって頭から水の中に落ちてしまったり、骨折してしまったりと大きな怪我につながります。
実際に水濠で頭から落ちた人を何度も見たことがあります。
そうならないようにしっかり対策をしましょう。
水濠の練習法
普通の障害とは違い、初めて水濠を飛び越えるのは怖いと感じると思います。
最初の水濠の練習で絶対にやってはいけないことは競技場で【実際に水を張って飛ぶ】また怖いからと言って【水を抜いて飛ぶ】ことです。
初めての方でいきなり競技場に行って水濠の練習をするのは絶対にやめてください。
怪我します。
3000mscを新しく始めようと考えている人は高校生か大学生の学生だと思います。
最初の水濠の練習はハードルを砂場の前においてハードルの上でしっかり飛ぶということを身につけることです。
いきなり水を張って大障害を飛ぼうとすると恐怖が出て直前で止まってしまう、もしくはうまく飛べないで足を引っかけてしまい頭から水に落ちしてしまうリスクが高まります。
恐怖をなくすために水をなくすと足へのダメージが大きくなってしまい故障のリスクが高まってしまいます。
まずは砂場で飛ぶ感覚を身につけ、次に水を張った大障害で実際に試してみる。
この順番で行ってください。
また、水濠のポイントとして踏み切る前の5歩を小刻みして、しっかりタイミングを合わせるようにすると飛びやすくなります。
普通の障害とは逆になります。
普通の障害は歩幅を大きくしてタイミングを合わし、水濠では歩幅を小さくしてタイミングを合わせます。
水濠で飛ぶことができるようになり、もっとタイムを縮めたいという人はふんわり飛ぶのはなく着地したい位置にめがけて一直線に行くようにしてください。
水濠練習の注意点
水濠の練習で実際に水がある状態で行う場合は必ずスパイクを履いてください。
ランニングシューズで走るととても滑ります。
見ている側でもハラハラしてしまうほどなので絶対にスパイクを履いてください。
故障の原因は極力避けましょう。
〈3000m障害のおすすめスパイクはこちらで紹介しています。〉
3000mscのレース展開
簡単に3000mscのレース展開を紹介したいと思います。
3000mscでは最初の2000mは余力を残した状態で走る人が多いためゆったりとしたスタートになります。
そして、最後の1000mとラスト一周でスピードが上がるイメージです。
理由は単純で足の疲労を少なくするためです。
前半にオーバーペースで走ってしまうと後半に足が動かないといった状態になります。
途中で障害を飛べなくなったら命取りですのでラストスパートまで力を温存しておく選手が多いです。
自分の予想ゴールタイム
はじめて3000mscを走るという方は自分のペースがどのくらいか予想にしくにくいと思います。
そこで、大まかな予想タイムの計算方法を紹介します。
①3000mのタイム+40~50s
大体、自分の3000mのタイムに40~50sを足したタイムが3000mscの予想ゴールタイムです。
レースになれていてハードリングが上手な人が40s、経験が浅い人は50sほどプラスすることになります。
+45sほどまでに抑えて走るのを目標にしてみてください。
実際に私は高校時代に3000mのタイムが8.57で3000mscが9.41(非公認)でした。
②5000mのタイム×2/3-40
5000mのペースを基準にして予想タイムを計算することもできます。
私は①の3000mのタイムを基準にして計っていました。
ラップごとのペース
最後にペース配分の説明をします。
一周のタイム(s) | ペース | ゴールタイム |
72.0 | 2.50/km | 8.30 |
74.0 | 2.55/km | 8.44 |
76.0 | 2.59/km | 8.59 |
78.0 | 3.04/km | 9.13 |
80.0 | 3.09/km | 9.27 |
82.0 | 3.13/km | 9.41 |
84.0 | 3.18/km | 9.55 |
86.0 | 3.23/km | 10.10 |
88.0 | 3.28/km | 10.24 |
90.0 | 3.32/km | 10.38 |
3000mscは水濠の関係で一周が400mではなく421mになっています。
ペースがわかりづらく、最初に突っ込みすぎたりゆったりしすぎたりしてしまう可能性があるので下の表で大体の1周ごとのペースを覚えておくと良いでしょう。
必ずあなたの役に立つはずです。
最後に
3000mscは競技者も観客もハラハラドキドキする魅力的な競技です。
しかし、甘い気持ちでレースに臨むと怪我や故障につながりかねません。
しっかりと練習を行ったうえでレースに出場して楽しんでください。
一度3000mscにとりつかれると1500mや5000mでは物足りなくなってしまいます。
是非、3000mscに挑戦して虜になってください。
3000mscを楽しめることを願っています。
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